「なかなか宿題を始めない」
「何度言っても動かない」
「もう少し自分からやってくれたらいいのに……」
子どもの様子を見ていると、「もっとやる気を出してほしい」と思うことがありますよね。
けれど、子どものやる気を引き出すために大切なのは、無理に動かそうとすることではなく、子ども自身が「やってみよう」と思えるような関わりや環境をつくることです。
この記事では、子どものやる気が出ない理由や、自分から動きやすくなる親の関わり方、具体的な声かけについて紹介します。
子どもの「やる気」は外から与えるものではない
「やる気を出させるには、どんな声かけをすればいいのだろう?」そう考えることもあるかもしれません。でも、親の言葉で子どもが動いたとしても、それが必ずしも「やる気が出た」ということではありません。
「怒られるからやる」
「言われたからやる」
「ご褒美がもらえるからやる」
という行動もあります。
もちろん、日常生活では、大人が声をかけたり、行動を促したりすることが必要な場面もあります。
ただ、長い目で見たときに育てたいのは、親に言われたから動くことだけではなく、「自分はどうしたい?」と考え、自分で決めて、「やってみよう」と一歩を踏み出す力ではないでしょうか。
そのためには、大人がいつも答えを与えるのではなく、子ども自身が考えたり、選んだりする経験を重ねていくことが大切です。
そして、その第一歩になるのが、子どもの話を聞くことです。
子どもは、自分の気持ちや考えを言葉にすることで、「本当はどうしたいのか」「何に困っているのか」に自分自身で気づくことがあります。
こうした対話を重ねることが、自分で考え、決め、「やってみよう」と動き出す土台になります。
子どものやる気が出ない6つの原因
子どもがなかなか動かないと、「やる気がないのかな」と感じることがあります。でも実際には、やりたくないのではなく、やりたい気持ちはあっても動けない理由が隠れていることもあります。
何につまずいているのかによって、必要な声かけやサポートは変わります。まずは「どうしてやらないの?」と問い詰めるのではなく、子どもの様子を見たり、話を聞いたりしながら、その背景を考えてみましょう。
1.何から始めればよいか分からない
大人には簡単に見えることでも、子どもにとっては「何から手をつければいいか分からない」ことがあります。
例えば「部屋を片づけて」と言われても、「何を片づけるのか」「どこにしまうのか」「どこから始めるのか」など、実はいくつものことを考える必要があります。
そんなときは、「まず机の上の鉛筆から片づけてみる?」など、最初の一歩を具体的にすると動きやすくなります。
2.課題がその子に合っていない
課題が難しすぎると、
「自分にはできない」
「やっても無理そう」
と感じて、始める前から気持ちがしぼんでしまうことがあります。反対に、簡単すぎて退屈している場合もあります。
大切なのは、「少し頑張ればできそう」と思えるくらいの難しさです。その子の今の力に合わせて、量を減らしたり、課題を小さく区切ったりすることも、やる気につながります。
3.失敗するのが怖い
「間違えたら嫌だ」
「できなかったら恥ずかしい」
「怒られるかもしれない」
そんな気持ちが強いと、挑戦することそのものを避けることがあります。
特に、結果を強く求められたり、ほかの子と比べられたりする経験が重なると、「失敗するくらいなら、最初からやらない方がいい」と思ってしまうこともあります。
うまくいかなくても大丈夫、またやってみればいいと思えることが、挑戦への一歩につながります。
4.自分で決める機会が少ない
「これをやりなさい」
「次はこれをやって」
「そのやり方じゃなくて、こうして」
と、大人が決めることが続くと、子どもは「自分がやること」ではなく、「やらされていること」と感じやすくなります。
もちろん、すべてを子どもに任せる必要はありません。
「宿題とお風呂、どっちを先にする?」
「算数と国語、どちらから始める?」
など、小さなことでも自分で選び、決める経験を増やしていくことが大切です。
5.やる意味や目的が分からない
大人には「やった方がいい」と分かっていても、子ども自身は、その意味を感じていないことがあります。
「なんでやらなきゃいけないの?」
「別にやりたくない」
と思っているところに、周りから「やりなさい」と言われ続けても、自分から動こうという気持ちはなかなか生まれません。
そんなときは、すぐに「やる意味」を説明するだけではなく、
「どう思ってる?」
「何が嫌なのかな?」
と、まず子ども自身の考えを聞いてみることも大切です。話していく中で、本人なりの目的や「ここまでならやってみよう」が見つかることもあります。
6.疲れや空腹などで心身に余裕がない
学校や園で一日頑張ってきたあと、家では何もしたくなくなることもあります。睡眠不足や空腹、疲れなどで、気持ちを切り替えられないこともあるでしょう。特に小さい子どもは、「今日は疲れているからできない」と、自分の状態をうまく言葉にできない場合があります。
そんなときに必要なのは、やる気を出させる声かけではなく、休むことかもしれません。やる気を求める前に、まず心と体の状態を確認することも大切です。
子どもが自分から動きやすくなる5つの関わり方
子どものやる気を引き出すために大切なのは、言葉でうまく動かすことではありません。子ども自身が「どうしたいか」を考え、自分で決め、「やってみよう」と思えるような関わりを増やしていくことです。
1.まずは子どもの気持ちを聞く
子どもが動かないとき、大人はつい、
「こうすればいいんじゃない?」
「まずこれをやってみたら?」
と、すぐに解決策を伝えたくなります。
でも、その前に一度、子どもの話を聞いてみましょう。
「どうしたの?」
「今、どんな感じ?」
「何か困ってる?」
と聞いてみると、大人が想像していたものとは違う理由が出てくるかもしれません。
ここで大切なのは、子どもを親の考える正解へ導くために質問するのではなく、「この子は今、何を感じているんだろう」「どう考えているんだろう」と、その子自身に関心を向けて聞くことです。
「そう思っているんだね」
「それが嫌だったんだね」
と、まずそのまま受け止めてもらえると、子どもはさらに自分の気持ちや考えを話しやすくなります。
そして話しているうちに、自分でもうまく分かっていなかった気持ちや考えが少しずつ言葉になり、
「本当はこうしたかった」
「ここが分からなかった」
「じゃあ、こうしてみようかな」
と、自分の考えが整理されることもあります。
大人が答えを教えなくても、子ども自身が話すことで、自分なりの答えを見つけていくことがあるのです。
こうした親子のコミュニケーションは、子どもをすぐに動かすためだけのものではありません。子どもが自分で考えるための時間にもなります。
2.子ども自身に選んでもらう
すべてを子どもに自由に任せる必要はありません。
「宿題、今やる? おやつのあとにする?」
「算数と国語、どっちからやる?」
「一人でやってみる? 最初だけ一緒にやる?」
というように、大人が選択肢を用意する方法もあります。大切なのは、自分で考えて、自分で決める機会をつくることです。
小さなことでも「自分で決めた」という経験が増えると、「やらされていること」ではなく、自分の行動として取り組みやすくなります。
3.結果だけでなく、行動や工夫を認める
テストで100点を取ったときに、
「100点、すごいね!」
と伝えることはもちろん悪いことではありません。
それに加えて、
「毎日少しずつ練習していたもんね」
「分からないところを自分で聞いていたね」
など、結果につながるまでの行動や工夫にも目を向けてみましょう。
子ども自身が「何をしたからできたのか」に気づくことで、次に何かに取り組むときにも、その経験を生かせるようになります。
4.「できたこと」を一緒に振り返る
子どもは、自分が成長していることに意外と気づいていないものです。
「前は一人ではできなかったけど、今日はここまで自分でできたね」
と具体的に伝えることで、自分自身の変化に気づきやすくなります。
小さな「できた」の積み重ねは、「自分にもできる」という自信になり、「次もやってみよう」という気持ちを支えてくれます。
5.失敗しても大丈夫だと思える環境をつくる
挑戦には、うまくいかないこともつきものです。
そんなとき、
「なんでできなかったの?」
と結果だけを見るのではなく、
「やってみたんだね」
「どこまではできた?」
「次はどうしてみようか?」
と、一緒に振り返ってみましょう。失敗しても責められず、もう一度試せると思えることが、次の挑戦につながります。
*「できるかどうか」だけではなく、「やってみようと思えるかどうか」**を大切にすることが、子どものやる気を育てるうえでは重要です。
子どものやる気を引き出す効果的な声かけ
やる気を引き出す声かけで大切なのは、どんなときにも使える「魔法の言葉」を探すことではありません。まず子どもの状態を見て、そのときの気持ちや考えに合わせて声をかけることが大切です。
やる気が出ないとき
- 「どうしたの?」
- 「何か困ってる?」
- 「何からならできそう?」
すぐに「やりなさい」と促すのではなく、まず動けない理由を探してみましょう。
挑戦しようとしているとき
- 「やってみようと思ったんだね」
- 「どうやってやってみる?」
- 「困ったら言ってね」
挑戦しようとした気持ちを認めながら、方法はなるべく本人に考えてもらいます。
失敗したとき
- 「悔しかったね」
- 「ここまではできたね」
- 「次はどうしてみようか?」
まずそのときの気持ちを受け止めたうえで、次にどうするかを一緒に考えます。
できたとき
- 「最後までやったんだね」
- 「どこを工夫したの?」
- 「やってみてどうだった?」
「すごいね」で終わらず、子ども自身が自分の経験を振り返る問いかけを加えてみましょう。
子どものやる気を奪う可能性がある親の言動
子どものためを思っているからこそ、つい言ってしまう言葉や、先回りしてしまうこともあるでしょう。
ここでは「絶対にしてはいけない」ということではなく、続くことで子どもが自分から動く機会を減らしてしまう可能性のある関わりを紹介します。
「早くしなさい」と急かす
急かされ続けると、自分で考えて動く前に「言われたからやる」という状態になりやすくなります。時間に余裕があるときは、「何時から始める?」と一緒に決めてみるのも一つの方法です。
ほかの子やきょうだいと比べる
「○○ちゃんはできているのに」と比べられることで、自信を失ってしまうことがあります。比べるなら、ほかの子ではなく、その子自身の過去と比べてみましょう。
「前よりここまでできるようになったね」と、本人の成長を伝えることが次への力になります。
結果だけを褒める・叱る
点数や勝ち負けだけに注目すると、「成功できそうなことだけやろう」と考えるようになることがあります。
結果だけでなく、「どんな工夫をしたのか」「どこを頑張ったのか」にも目を向けてみましょう。
先回りして手や口を出す
子どもが困っていると、親としては助けたくなるものです。でも、すぐに答えを教えてしまうと、自分で考えたり、試したりする機会が減ってしまいます。
危険がない範囲であれば、少し待ってみることも大切です。必要なときには、答えそのものではなく、ヒントを渡してみましょう。
ご褒美や罰に頼りすぎる
ご褒美が、行動を始めるきっかけになることはあります。一方で、「これをしたら○○をあげる」だけが続くと、ご褒美そのものが目的になってしまうこともあります。
ご褒美を使う場合にも、
「やってみてどうだった?」
「何ができるようになった?」
と、経験そのものを振り返る時間をつくるとよいでしょう。
年齢によって子どものやる気の引き出し方は変わる
子どもの成長によって、理解できる言葉や必要なサポートも変わっていきます。
ただし、同じ年齢でも成長のスピードや性格はそれぞれです。年齢だけで決めつけず、その子の様子を見ながら関わり方を調整していきましょう。
幼児には「楽しい」と「できた」を増やす
幼児期は、遊びの要素を取り入れたり、小さく分かりやすい目標にしたりすると取り組みやすくなります。長い説明より、「どっちからやる?」など、短く分かりやすい言葉や選択肢を使うのもおすすめです。
小学校低学年には、自分で考える機会をつくる
少しずつ、
「自分はどうしたい?」
と聞く機会を増やしてみましょう。
方法や順番など、小さなところから本人に任せ、失敗も含めて「自分でやってみた」という経験を重ねていくことが大切です。
小学校中〜高学年には「自分はどうしたい?」を大切にする
年齢が上がるにつれて、親が決めたことをそのまま受け入れるのではなく、自分なりの考えを持つようになります。そんなときは、「こうしなさい」と答えを決める前に、
「自分ではどう思ってる?」
「どうしたい?」
と聞いてみましょう。
自分の考えを言葉にすることで、本人自身が「自分はどうしたいのか」に気づくこともあります。
親とは違う考えが出てきたとしても、まずは聞いてみる。その積み重ねが、自分で考え、決めて、行動する力につながっていきます。
対話を通じて「自分からやってみる力」を育てよう
子どものやる気を引き出すというと、
「どんな声かけをすれば動いてくれるだろう」
と考えることがあります。
でも、本当に育てたいのは、親に言われたから動く力だけではなく、子ども自身が「やってみよう」と思い、自分から一歩を踏み出す力ではないでしょうか。
そのために大切なのが、子どもの話を聞くことです。子どもは、自分の気持ちや考えを話し、言葉にしていく中で、
気持ちや考えが整理される
↓
自分がどうしたいのかに気づく
↓
自分で考える
↓
自分で決める
↓
「やってみよう」と一歩を踏み出す
ことがあります。
親がいつも正しい答えを教える必要はありません。
「この子は今、何を考えているんだろう」
と100%の関心を向けて話を聞く時間そのものが、子どもが自分で考えるための土台になります。
もちろん、ここまで紹介してきた声かけや関わり方を、家庭でいつも完璧に実践するのは簡単ではありません。
忙しい毎日の中では、ゆっくり話を聞けない日もありますし、親子だからこそ、つい先に口を出したり、「こうしてほしい」という気持ちが出てしまったりすることもあります。
子どもの話を聞く時間や、自分で考える時間を、家庭だけですべてつくろうとしなくても大丈夫です。そんなときは、家族以外の大人や、子どもとの対話を大切にする専門家の力を借りることも、一つの方法です。
キッズメイトでは、子どもがおはなしコーチと思う存分話せる1対1の時間をつくっています。
コーチは子どもの話に100%の関心を向け、「こうした方がいいよ」とすぐに答えを教えるのではなく、まず子どもが感じていること、考えていることをじっくり聞きます。
子どもは話すことで、自分でも気づいていなかった気持ちや考えを言葉にし、少しずつ整理していきます。
そして、
「自分はどうしたいんだろう」
「じゃあ、こうしてみようかな」
と、自分で考え、決めることが、「やってみよう」という一歩につながっていきます。
コーチは、一緒に笑ったり、喜んだり、驚いたりしながら、その子のチャレンジを応援します。
家庭とは少し違う大人が、自分の話に100%の関心を向けてくれる時間。それも、子どもが自分の考えやよさに気づき、自信を育てていく一つの機会になります。
「もっと自分の気持ちを話してほしい」
「自分で考えて、やってみようと思えるようになってほしい」
そんな方は、ぜひ一度キッズメイトの「おはなしの時間」を体験してみてください。