「宿題を始めようとしない」
「朝の準備を何度言っても進まない」
「好きなことはするのに、やるべきことにはなかなか動かない」
そんな様子を見ていると、「どうしてこんなにやる気がないんだろう」と心配になったり、つい「早くしなさい」と強く言いたくなったりすることがありますよね。
けれど、子どもが動かないのは、単に「やる気がないから」「怠けているから」とは限りません。
何から始めればいいのか分からない。難しくて自信がない。失敗するのが怖い。なぜやるのか納得できない。学校から帰ってきて、もう疲れている。そんなふうに、動きたくても動けない理由や、今は動こうと思えない理由が隠れていることがあります。
大切なのは、子どもを「やる気がない子」と決めつけることではなく、「今、この子に何が起きているんだろう?」と子どもの側から見てみることです。背景が違えば、必要な関わり方も変わってきます。
この記事では、子どものやる気が出ないように見える6つの理由を取り上げながら、それぞれの様子や背景、親が最初にできることを紹介します。
子どもに「やる気がない」ように見える背景は一つではない
心理学では、一般に「やる気」と呼ばれるものを「動機づけ」という考え方で捉えます。
動機づけには、物事をどう捉えているか、不安や興味などの感情、本人が求めていること、周りの環境など、さまざまな要素が関わると考えられています。そのため、同じ子でも、場面やその日の状態によって動きやすさは変わります。^1
例えば、「宿題を始めない」という同じ行動でも、背景にはこんな違いがあります。
- 何から手をつければよいか分からない
- 問題が難しくて自信がない
- 間違えるところを見られたくない
- なぜ宿題をするのか納得できない
- 疲れて考える余裕がない
一つだけではなく、いくつかの理由が重なっていることもあります。
ここで紹介する6つの理由は、子どもをタイプ分けしたり、原因を一つに決めたりするためのものではありません。その子の今の状態を理解するための、6つの見方として読んでみてください。
子ども自身も理由を説明できないことがある
「どうしてやらないの?」と聞いても、返ってくるのは、
「分からない」
「面倒くさい」
「やりたくない」
そんな一言だけ、ということもあります。
特に幼児や小学校低学年頃は、自分が動けない理由を整理して言葉にするのは簡単ではありません。「面倒くさい」という一言の中に、疲れや難しさ、不安、納得できない気持ちなど、いくつもの感覚が混ざっていることもあります。
年齢が上がっても、自分の状態をすぐに言葉にできるとは限りません。自分なりの考えがあっても、「今は親には話したくない」ということもあるでしょう。年齢だけで判断せず、その子の言葉と一緒に、表情や様子も見ていくことが大切です。
言葉にできないからといって、何も感じたり考えたりしていないわけではありません。表情、手の動き、課題から離れるタイミング、どんな場面なら取り組めるのか。そうした様子も、背景を考えるヒントになります。ひとつの様子だけで「きっとこう思っている」と決めつけず、いくつかの手がかりを重ねて見てみましょう。
原因を決める前に見ておきたいこと
子どもが動かないと、「どうしたらやらせられるだろう」と方法を探したくなりますよね。でも、その前に少しだけ今の状態を見てみると、必要な支えが見つかりやすくなります。
まず、睡眠・空腹・体調を確認する
眠い、おなかがすいている、のどが渇いている、暑い、寒い、どこかが痛い。大人でも、そんな状態ではいつも通りに考えたり行動したりするのは難しいものです。
「気持ちの問題」と考える前に、まずは心と体の状態を確認してみましょう。
いつ・どこで・何に対して動けないかを見る
朝だけなのか、学校から帰ったあとだけなのか。宿題だけなのか、着替えや片づけでも止まるのか。家では難しくても、学校や習い事ではできているのか。
「いつもやる気がない」とひとまとめにせず、場面を分けて見てみると、その子が困っているところが見えてくることがあります。
一度に一つだけ変えて様子を見る
声かけ、時間、課題の量、取り組む場所を一度に全部変えてしまうと、何がその子に合っていたのか分かりにくくなります。
例えば、まずは帰宅後に休む時間をつくる。それでも難しければ、最初の一歩だけ一緒に確認してみる。そんなふうに一つずつ試しながら、「これはやりやすそう」「これはあまり変わらない」と、親子で合う方法を探していきましょう。
ここから紹介する声かけも、あくまで一例です。子どもに質問へ答えてもらうことが目的ではありません。答えにくそうなら質問を重ねず、様子を見る、具体的な助けを提案する、少し時間を置くなど、その子に合う方法を選んでください。
理由1|何から始めればよいか分からない
大人には簡単に見えることでも、子どもにとっては、いくつもの手順が含まれていることがあります。
例えば「部屋を片づけて」という言葉だけでも、何を拾うのか、どこへ運ぶのか、どこから始めるのか、といくつもの判断が必要です。やること自体は分かっていても、最初の一手が見つからず、そこで止まってしまうことがあります。
こんな様子が見られることがあります
- 課題を前にしたまま、なかなか始めない
- 何度もやり方を確認する
- 急に別の遊びや片づけを始める
- 「あとでやる」と先延ばしにする
- 最初だけ一緒にすると、そのあとは進められる
考えられる背景
指示が少し抽象的だったり、手順が多かったりすると、頭の中で「次に何をするか」を組み立てにくいことがあります。課題の量が多く見えて、どこから手をつければいいのか分からなくなっているのかもしれません。
もちろん、始められない理由が「段取り」だけとは限りません。失敗への不安や疲れが重なっていることもあります。まずは「段取りが苦手な子」と決めず、何が分かると動きやすくなるのかを見てみましょう。
背景を考える手がかり
最初にすることが具体的になると、取り組みやすくなるかを見てみます。
「プリントを机に出す」
「名前を書く」
「一問目を見る」
最初の一歩が見えたあとに自分で進められるなら、「やりたくない」というより、始め方や見通しが分からず止まっていたのかもしれません。
親が最初にできること
すべての手順を大人が決めてしまう前に、
「最初に何をするか、一緒に見てみる?」
と、助けが必要かどうかを聞いてみましょう。
本人が分かっているところまで指示する必要はありません。必要なところだけ一緒に整理します。本人が選べそうなら最初の一歩を選んでもらい、難しそうなら「まずプリント出してみる?」など、大人から一案を出してみてもよいでしょう。
課題を小さく分ければ必ずやる気が出るわけではありません。でも、「次に何をすればいいか」が見えるだけで、動き出しやすくなる子はいます。
理由2|課題がその子に合っていない
課題が難しすぎると、「やってもできない」と感じて、始める前から気持ちがしぼんでしまうことがあります。
反対に、簡単すぎる、同じことの繰り返しが多い、量が多すぎるなどの理由で、「やる意味を感じられない」となっていることもあります。
こんな様子が見られることがあります
- 少し取り組むと、すぐに諦める
- 一つの課題にとても時間がかかる
- 「簡単すぎる」「つまらない」と言う
- 書く課題は嫌がるが、口頭なら答えられる
- 好きなテーマや別の方法では取り組める
考えられる背景
合っているかどうかを見るときは、難しさだけでなく、量、時間、伝え方、取り組み方にも目を向けてみましょう。
内容は理解できていても、文字をたくさん書くことが大きな負担になっているかもしれません。反対に、今の理解に対して簡単すぎて、退屈していることもあります。
「この子の能力に合っていない」と固定的に考えるより、今の課題の難しさ・量・進め方が、そのときの子どもに合っているかという視点で見てみると、調整できることが見つかりやすくなります。
背景を考える手がかり
- 量を少し変えるとどうか
- 説明を短くするとどうか
- 口頭、絵、実物など、伝え方を変えるとどうか
- 好きな内容や得意な方法ではどうか
- どこまでは一人でできるか
こうした違いを見ていくと、どこで負担が大きくなっているのかが見えやすくなります。
親が最初にできること
「どうしてできないの?」ではなく、
「どのあたりがやりにくい?」
「ここまでは分かる?」
と、止まっているところを一緒に見てみましょう。
子どもだけに頑張って合わせてもらうのではなく、量や難しさ、方法、必要な支えを変えられないか考えることも大切です。
理由3|失敗するのが怖い
「間違えたら恥ずかしい」
「できないと思われたくない」
「期待に応えられなかったら嫌だ」
そんな気持ちがあると、始める前に避けたり、「別にやりたくない」と興味がないように見せたりすることがあります。子ども自身も、それを「失敗するのが怖いから」とはっきり分かっていないことがあります。
こんな様子が見られることがあります
- 始める前から「できない」と言う
- 簡単にできることだけを選ぶ
- 間違いを何度も消して、先へ進めない
- ふざけたり、怒ったりして課題から離れる
- 一人ならできることを、人前ではしない
考えられる背景
以前の失敗が恥ずかしかった、正解や結果を強く意識している、周りと比べてしまう、期待に応えたい気持ちが強い。背景には、いろいろな可能性があります。
失敗を「自分には能力がない証拠」と受け止める傾向は、難しい課題を避けたり、失敗したあとに粘りにくかったりすることと関連する研究もあります。^1
一方で、避ける行動だけを見て「失敗が怖いからだ」と決めることはできません。課題が難しすぎる、疲れている、何から始めるか分からない、といったことが重なっている場合もあります。
背景を考える手がかり
一人でいるときと人前にいるときで違いがあるか。正解を評価されない遊びや、何度でも試せる活動なら挑戦できるか。そんな場面の違いを見てみましょう。
親が最初にできること
「失敗しても大丈夫だから、やってみなよ」と背中を押す前に、まずはその子の怖さや心配に目を向けます。
「間違えるのが心配なのかな。違っていたら教えてね」
「何か気になっていることある?」
そんなふうに聞いてみてもよいでしょう。話したくなさそうなら、無理に答えを聞き出さなくても大丈夫です。
一緒に試す、そばで見ている、今日はやめておく。どんな支えがあると少しやりやすそうかを、本人と相談してみましょう。勇気づけは、無理に挑戦させることではありません。「失敗しても自分の味方がいる」と感じられることが、次の一歩を考える支えになります。
理由4|自分で決める機会が少ない
子どもの生活には、学校へ行く時間、安全のための約束、家庭の予定など、大人が決める必要があることもたくさんあります。
その一方で、何をするかだけでなく、順番や方法、始める時間までいつも大人が決めていると、子どもによっては「自分のことなのに、自分で決めていない」と感じることがあります。
こんな様子が見られることがあります
- 指示されるまで動かない
- 決められたことに強く反発する
- 「どっちでもいい」「決めて」と言う
- 自分で始めた遊びや活動には集中している
- 自分で順番や方法を決めたときは取り組みやすい
考えられる背景
自分の考えを聞かれる機会や、自分で選べる余地が少ないと、「やらされている」と感じやすくなることがあります。
中国の中学生666人への質問紙調査では、親から自分の考えを尊重されていると子どもが感じることと、数学の宿題への自律的な動機づけや努力との間に関連が報告されています。日本の5〜11歳にそのまま当てはまる研究ではありませんが、「自分の考えを尊重されていると感じること」と動機づけの関係を考える参考になります。[^2]
ただ、自分で選べるようにすれば必ず動く、ということではありません。選択肢が多すぎると、かえって決めにくくなる子もいます。
背景を考える手がかり
やる内容は同じでも、順番や方法を自分で決められると様子が変わるかを見てみましょう。
小さい子には、「どうしたい?」と全部を任せるより、「こっちとこっち、どちらからにする?」と二つくらいの選択肢を示したほうが考えやすいこともあります。
親が最初にできること
まずは、大人が決める必要があることと、本人が選べることを分けてみます。
例えば、宿題をすること自体は変えられなくても、
- どの教科から始めるか
- 一人で始めるか、最初だけ一緒にするか
- 机とリビングのどちらでするか
こうした部分は、本人が選べるかもしれません。
大切なのは、親が望む答えを選ばせるために選択肢を使わないことです。「今は決められない」という反応も含めて、その子の意思として受け止めてみましょう。
理由5|やる意味や目的が分からない
大人には「やる必要がある」と分かっていても、子どもは「どうしてこれをするんだろう」と感じていることがあります。
意味が分からないことや、自分で納得できないことに、自分から取り組むのは難しいものです。
こんな様子が見られることがあります
- 「何のためにやるの?」と聞く
- 「別にやりたくない」と言う
- 必要性を説明されても納得していない
- 自分が興味を持ったことには取り組める
- 目的が具体的になると反応が変わる
考えられる背景
大人が大切だと思っていることと、子ども本人が「大事だ」と感じていることが違う場合があります。
特に年齢の低い子にとって、「将来役に立つから」という遠い目的は、まだ実感しにくいことがあります。今の生活や興味とのつながりが見えていないのかもしれません。
もちろん、意味には納得していても、課題が難しい、失敗が怖い、疲れているなど、別の理由で動けないこともあります。「理由を説明すれば動くはず」と考えず、ほかの背景も一緒に見てみましょう。
背景を考える手がかり
年齢やその子の話しやすさに合わせて、
「これ、どんなところが嫌そう?」
「難しい? つまらない? それとも別の感じ?」
「これをやる理由、分かりにくいかな」
などと聞いてみます。選択肢は答えを当てるためではなく、話し始めるきっかけです。「どれとも違う」「分からない」でも構いません。
すぐに答えが出なくても大丈夫です。「分からない」「やりたくない」という言葉も、今の子どもを理解するための大切な情報です。
親が最初にできること
大人が考える意味をすぐに説明して納得させようとする前に、まずは本人がどう感じているのかを聞いてみましょう。
どうしても必要なことなら、その理由は大人が分かりやすく伝えます。そのうえで、順番や方法など、本人が考えたり選んだりできる部分を一緒に探します。
「自分には意味が分からない」という答えが返ってきたときも、まずは「そう感じているんだね」と受け止めるところから始めてみましょう。
理由6|疲れや空腹などで心身に余裕がない
学校や園、習い事で一日を過ごしたあと、家に帰ると何もしたくなくなることがあります。
外で頑張っていた分、疲れが家に帰ってから一気に出る子もいます。夕方の怒りや涙がすべて疲れから来ているとは限りませんが、そんなときは「やる気を出させる言葉」より、まず休むことが必要なのかもしれません。
こんな様子が見られることがあります
- 学校から帰った直後は、ぼんやりしている
- 夕方になると怒りやすい、泣きやすい
- 曜日や時間帯によって様子が大きく違う
- いつもできることにも時間がかかる
- 睡眠、食欲、体調、表情にいつもと違う変化がある
考えられる背景
睡眠不足、空腹、のどの渇き、暑さや寒さ、学校や習い事の疲れ、刺激の多い一日、体調不良、心配事や緊張など、心身の余裕を奪うものはいろいろあります。
一般集団の就学前の子どもを対象にした研究のレビューでは、睡眠の量や質と認知・行動との関連が報告されています。ただし、関連は比較的小さく、研究方法にもばらつきがあり、睡眠が認知や行動の違いを直接引き起こしたとまではいえません。[^3]
また、子どもや青少年を対象にした介入研究のレビューでは、朝食をとらない場合と比べ、同じ日の午前中の注意、実行機能、記憶で良い結果が見られた研究が比較的多くありました。ただし、多くは一度の朝食による短期的な変化を調べた研究で、長期的な効果や朝食の内容については結論が定まっていません。このレビューは食品企業の資金提供を受けて行われています。[^4]
つまり、「朝食を食べればやる気が出る」「睡眠不足ならやる気がなくなる」と単純に言えるわけではありません。ただ、空腹や睡眠の状態が、考えたり集中したりする力と関わっている可能性はあります。
背景を考える手がかり
- 時間帯や曜日によって違うか
- 休息や補食のあとに様子が変わるか
- 家だけ、学校だけなど、場所による違いがあるか
- 睡眠、食欲、体調にいつもと違う変化がないか
親が最初にできること
まずは、「疲れてる?」「何か食べる?」と、心と体の状態を確認してみましょう。
余裕がないときは、「どうして?」「どっちにする?」と考えること自体が負担になることもあります。そんなときは、話すことや決めることを急がず、先に休む時間をつくります。
もちろん、待つことは放っておくことではありません。必要な食事や休息、安全への配慮は大人が担いながら、子どもが少し余裕を取り戻すのを待ちましょう。
子どもの理由を知りたいときに大切にしたいこと
子どもの背景を知りたいと思うほど、
「何が嫌なの?」
「どうしてやらないの?」
「ちゃんと言ってくれないと分からないよ」
と、理由を聞きたくなることもありますよね。
けれど、子どもの話を聞くことは、答えを言わせたり、親が考える結論へ導いたりすることではありません。
「この子は今、何を感じているんだろう」
「どんなふうに考えているんだろう」
そんなふうに、分かろうとすることが出発点です。
話したくないときは、関心を向けながら待つ
子どもがすぐに話さないときは、
「今は話したくないんだね」
「話したくなったら聞かせてね」
と、話さない気持ちもそのまま受け止めます。
待つことは、放っておくことではありません。表情や様子に関心を向けながら、必要なら助けられるところにいること。安全や生活上のルールは大人が担いつつ、答えや気持ちの切り替えを急がないことです。
また、子どもの表現は言葉だけではありません。遊び、絵、身振り、視線、沈黙なども、その子を理解する手がかりになります。ただし、「この絵を描いたから、きっとこういう気持ち」と大人が意味を決めるのではなく、その子なりの表し方を受け止めながら見ていきましょう。
話す中で、自分の気持ちに気づくこともある
子どもは、最初から自分の気持ちや理由を全部分かっているわけではありません。話しているうちに、
「本当はここが分からなかった」
「できないと思われるのが嫌だった」
「今日は疲れていた」
と、自分でもはっきりしていなかった気持ちに気づくことがあります。
話したからといって、必ずすぐに気持ちが整理されたり、やる気が出たりするわけではありません。話した結果、「今はやらない」「少し休んでからにする」と自分で決めることもあるでしょう。安全や健康、生活上必要なことは大人が枠組みを示しながら、その中で方法やタイミングを一緒に考えていきます。
すぐに行動につながらなくても、気持ちを言えたこと、休みたいと伝えられたこと、助けを求められたこと、「これは自分には合わない」と気づけたことも、大切な変化です。
「やる気がない」ように見える状態が続くときは相談してもよい
やる気が出ないように見えることだけで、病気や発達上の問題があると判断することはできません。ただ、次のような状態が続いているときは、家庭だけで何とかしようとせず、誰かに相談してみてもよいでしょう。
- いつもと違う状態が続いている
- 家庭、学校、習い事など、一つまたは複数の場で困りごとが続いている
- 睡眠、食欲、体調、登校、遊び、人との関わりに影響がある
- 本人のつらさが強い
- 保護者だけで抱えることが難しい
厚生労働省も、子どもの心のSOSは、睡眠、食欲、体調、行動などに表れることがあると案内しています。^5担任、養護教諭、スクールカウンセラー、自治体の子育て相談、かかりつけの小児科など、まずは相談しやすいところにつながってみてください。
「消えたい」「死にたい」などの言葉、自分を傷つける行動、ほかの人を傷つけるおそれなど、安全に関わる様子がある場合は、本人を一人にせず、速やかに医療機関や地域の相談窓口へ相談してください。差し迫った危険がある場合は、緊急の支援を求めてください。
まとめ|「やる気がない子」ではなく、今の背景を見てみよう
子どもがなかなか動かないと、「どうしてやる気がないんだろう」と思ってしまうのは自然なことです。
でも、その奥には、始め方が分からない、課題が合っていない、失敗が怖い、自分で決められない、意味に納得できない、疲れているなど、その子なりの理由が隠れていることがあります。
理由は一つとは限りません。そして、親から見て分からないだけでなく、子ども自身も「どうして動けないのか」をまだうまく分かっていないことがあります。
そんなときは、すぐに行動を変えようとする前に、
「今、どんな状態なんだろう」
「何に困っているんだろう」
と、その子の側から考えてみてください。
すぐには分からなくても、心と体が落ち着いたときに一日の出来事を振り返ったり、好きなことやその日の気持ちを話したりする中で、自分でも気づいていなかった思いや理由が、少しずつ見えてくることがあります。
大切なのは、子どもを大人が望む答えへ導くことではなく、その子自身が感じていることや考えていることを、急がずに分かろうとすることです。
子どものやる気を引き出す考え方や、親ができる関わり方・声かけの全体像は、「子どものやる気を引き出すには?自分から動けるようになる親の関わり方と声かけ」で紹介しています。
子どもが思う存分話せる「おはなしの時間」という選択肢
子どもの「やる気が出ない理由」を知ろうとしても、いつもすぐに答えが見つかるとは限りません。子ども自身も、最初から自分の気持ちを全部分かっているわけではなく、話しているうちに、
「本当は、ここが分からなかった」
「失敗するのがちょっと嫌だった」
「今日は疲れてたんだ」
と、自分の気持ちに気づくことがあります。
だからこそ、何かを解決するためだけではなく、自分の好きなことや感じていることを、思う存分話せる時間を持つことも大切だと、キッズメイトは考えています。
キッズメイトの「おはなしの時間」では、おはなしコーチが子どもの話に100%の関心を向けます。
好きなことを夢中になって話したり、その日にあった出来事を聞いてもらったり、ときには一緒に笑ったり、驚いたり。
「こうしたほうがいいよ」と答えを教えるのではなく、子ども自身の気持ちや考えを大切にしながら、その子のペースでお話しします。
話しているうちに考えが整理されたり、「自分はこうしたい」と自分なりの答えが見えてきたりすることもあります。
自分のためだけに100%の関心を向けてもらい、思う存分話せる。
そんな時間を、毎日の中にプラスする、新しい習い事です。
「こんな時間、うちの子にもいいかも」と思った方は、キッズメイトの無料体験をご覧ください。
本記事で参考にした資料
[^2]: Feng, X.ほか「親や教師の自律性支援と、中学生の宿題への努力・動機づけとの関連」Frontiers in Psychology(2019年)
[^3]: Reynaud, E.ほか「就学前の子どもの睡眠と認知・行動の関連に関する系統的レビュー」Journal of Sleep Research(2018年)
[^4]: Adolphus, K.ほか「子ども・青少年の朝食と認知機能に関する系統的レビュー」Advances in Nutrition(2016年、Kellogg’s USAの資金提供によるレビュー)
よくある質問
ゲームはするのに、宿題にはやる気が出ないのはなぜですか?
ゲームと宿題では、楽しさ、難しさ、先の見通し、自分で選んだ感覚などが違います。また、疲れていても、慣れていることや好きなことならできる場合があります。
「ゲームができるなら疲れていない」「宿題をしないのは怠け」と考えるより、宿題のどこで止まっているのかを見てみましょう。
子どもが「分からない」「面倒」としか言わないときはどうすればよいですか?
子ども自身も、理由を整理して説明できないことがあります。何度も「どうして?」と聞くより、時間帯、課題の難しさ、始め方、表情、ほかの場面との違いなどを見てみましょう。
「今は分からないんだね」といったん受け止めて、話したくなったときに聞ける関係をつくっておくことも大切です。
やる気が出るまで待っていてもよいですか?
待つことと、何もしないことは同じではありません。
疲れているなら休めるようにする、始め方が分からないなら一緒に確認するなど、必要な支えは届けます。期限や安全に関わることは、大人が理由と枠組みを示すことも必要です。そのうえで、気持ちの切り替えまで急かさないようにします。
選択肢を与えれば、自分から動くようになりますか?
選択肢を出せば必ず動く、ということではありません。選択肢は、子どもを思い通りに動かすための方法ではなく、本人の考えや希望を尊重する一つの方法です。
選択肢が多いと決めにくい子もいます。年齢やそのときの状態に合わせて、無理のない範囲で「自分で決められるところ」をつくってみましょう。
親の関わり方が、やる気が出ない原因なのでしょうか?
子どもの動きやすさには、課題、環境、体調、不安、本人の受け止めなど、さまざまなことが関わっています。保護者の関わりだけが原因というわけではありません。
忙しい日には、急かしたり、先に答えを言ってしまったりすることもありますよね。毎回完璧に関わる必要はありません。「今日は何が起きているんだろう」と、必要なときに見直していけば大丈夫です。
何をしてもやる気が出ないときは、どこへ相談すればよいですか?
いつもと違う状態が続く、睡眠や食欲が変わった、学校生活や遊びにも影響がある、本人のつらさが強い、といった場合は、担任、養護教諭、スクールカウンセラー、自治体の相談窓口、かかりつけの小児科などに相談できます。
保護者が「一人で抱えるのはつらい」と感じたときも、相談してよいタイミングです。